Tuesday, May 09, 2006

日本語in台湾 [その1]

最近台湾のスーパーで買物をしながら、日本に居るかのような「時空錯乱」を感じた。
なぜなら、棚に展示されている品物には台湾の言葉ではなく、日本語が多く書かれてあるからだ。

グローバル化のせいか、近年日本語は台湾の多くの分野においてよく使われるようになってきた。
しかし、これというのは、日本語が話せる台湾人が増えたということではなく、
日本語の言葉が台湾のあちこちによく見られるようになり、
台湾人がそれらの言葉を普通に使うということだ。

(え?どういう意味?!なんだかややこしくて理解しにくいね...)

簡単に例を挙げてみれば、少し分かりやすくなるかな。
「元気」「人気」「宅急便」「宅配」「物語」「達人」などの言葉は、本来は「日本語」のはずなのに、
いまは台湾の共通語と化して、台湾人が普通に使うようになった。
ただし、日本語の発音ではなく、北京語の発音で使われている。
さらに、「和製英語」のように、日本語を一部取り入れ、台湾語や北京語と合成して、
新しい用語を創り出したりするのだ。
最近流行りの「泡湯」は「合成新語」の一例である。
「泡」は北京語で、「液体に浸かる」という意味を持つ。
「湯」は日本語で、「男湯」「女湯」など、温泉地でよく使われる。
だから、「泡湯」はいわゆる「温泉に入る」ことである。

しかし、本来、北京語には「泡湯」という用語もあった。
北京語の「湯」は「スープ」であり、風呂や温泉の意味は持たなかった。
「泡湯」は「何らかの事情で、物事が壊れたり、駄目になったりする様子」を表す言葉だった。

台湾も日本も漢字を使う国なので、漢字だけの日本語用語は簡易に台湾人に受け入れられる。
だけど、同じ漢字でも、日本語と台湾語または北京語の意味が類似する場合もあれば、
意味合いがはるかに違う場合もある。
例を挙げた「元気」「人気」「宅急便」「宅配」「物語」「達人」などは、
本来台湾のオリジナルな言い方はあったが、いま日本語という外来語が
マスメディアを通じて流行りになり、一般的に使われるようになっている状況を見ると、
日本語発音でその言葉を使っていた私はなんだか違和感を覚えた。

グローバル社会において、外来語もいいけれども、
母国のオリジナルな言い方はどうか忘れないでほしいのは本音なのだ。

《注》
「日本語」→「北京語」
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「元気」→健康、活潑、有精神
「人気」→紅、受歡迎
「宅急便」→快遞
「宅配」→貨運
「物語」→故事
「達人」→高手

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